カンヌ国際広告祭

海外の販促事例を書くときに、定例的にチェックしているサイトがあります。
全て英語のため読めなくて、登場頻度は低いのですが、そのAdvertisingAge というサイトに
ここ数ヶ月間、お手つきしているみたいなライオンバナーが出ていました。



翻訳ツールにお世話になってみたところ、カンヌ国際広告祭についての記事でした。
南フランスで行われる大きな広告に関するニュースとのこと。
これは是非にと思い、ご紹介することにいたしました。



カンヌ国際広告祭は、毎年6月下旬にフランスのカンヌ市で開催されます。
期間は約1週間。今年は2009年6月21日~27日に行われました。
世界中の広告会社がエントリーし、ハイレベルな広告や企画がそろいます。
広告業界のワールドカップと呼ばれるほど大きなイベントです。


この広告祭、1954年に劇場CMのために創設されました。
その後、テレビCM部門の追加、屋外看板・ポスター部門、サイバー部門・・・と
どんどん対象が広がっていました。

そして今では

  • フィルム部門
  • プレス部門
  • アウトドア部門
  • サイバー(インターネット)部門
  • メディア部門
  • ダイレクトマーケティング部門
  • ラジオ部門
  • チタニウム(統合キャンペーン)部門
  • プロモ(SP)部門
  • デザイン部門(2008年第55回から新設)

これらの10部門が設けられ、それぞれにたくさんの企業がエントリーします。
その広告プロモーションに対し、世界中から選抜された審査員が評価を下し
それぞれの部門で金・銀・銅賞が贈られます。


この広告祭、結構オープンです。

  • 全エントリー作品を、参加者全員が見られる。
  • 自分の観点と、プロのトップクリエーターの着眼点と比較ができる。
  • 審査員は25~26人。各国から集められる。大体20カ国くらいらしい。
  • 審査の結果だけでなく、審査の過程もオープンにされ、見ることができる。

どれも、クリエイティブを仕事としている人には魅力的でしょう。


カンヌ国際広告祭日本オフィシャルサイトもありました。
簡単な内容でしたが、レポートから雰囲気が伝わってきます。
なかなか面白そうな気配がしてきました。



まず、2009年度のグランプリを3作品紹介します。


 The Best Job In The World[英文]



オーストラリア・クイーンズランド州観光公社主催。ハートのさんご礁のところです。
島に半年住み、広報活動を行うというお仕事の依頼。報酬は15万豪ドル(約900~1,000万円)


Web、新聞、ニュースなど、あらゆる媒体を駆使してアピールした結果、
世界中から201ヶ国、3万6648人の応募がありました。
サイトへのアクセス数は56日間で684万9504の訪問、4754万8514のページ・ビュー、
滞在時間平均8.62分ということです。


このキャンペーンに掛かった金額は100万ドル程度だといいます。
コストパフォーマンスは抜群だったのではないでしょうか。


日本人女性が最終選考に残ったので、ニュースでも取り上げられていました。
クイーンズランドに応募してきている人が皆、陽気で日焼けしていて
すごく楽しそうに自分をアピールしていたのが印象的でした。


ちなみに、イギリス在住34歳男性がこの35000倍の倍率を勝ち抜き、管理人に選ばれました。
7月1日仕事始めです。結構な勢いで島の生活をレポートしていましたよ。


 ECO:DRIVE[英文]



自動車メーカー フィアットの企画。
運転の仕方によってエコポイントが貯まるFIATのサイトというかシステムです。
サイトのオープニングムービーを見るだけで、やりたいことが大体わかります。
かわいらしく、分かりやすいのでこれだけでも価値があると思います。


車にUSBを挿し、運転します。挿さるだけでもすごいと思います。



運転し、戻ってきたらパソコンにそのUSBをまた挿します。



運転の結果を分析し、どれだけエコドライブが出来たのかを教えてくれます。


  


かなり細かい結果までだし、採点をしてくれるみたいです。
おそらく、運転結果を見るのが楽しくなるであろうこのECO:DRIVEは、4部門で金賞を受賞しました。


 WHY SO SERIOUS?[英文]



映画ダークナイトのジョーカーが運営しているという設定のWebサイト。



カンヌ国際広告祭には、日本からもかなり出品されています。
ユニクロ、コカコーラ ミニッツメイド、ソニー、ナイキ、公共広告機構など
多くの企業が過去に受賞しています。
特にユニクロは秀逸で、昨年は「UNICLOCK」というブログツールでグランプリを受賞しました。


そして今年も、また受賞した広告がありました。
部門別グランプリに輝いたものも数点あります。


ネスレ キットカット×郵便局



メディア部門グランプリ獲得です。
受験生応援企画として、メッセージが書き込めて、切手を貼りこのまま送れるキットカットを
全国の郵便局をはじめ、スーパーやコンビニで取り扱いました。
東京大学前にある本郷郵便局が、サクラサク郵便局として
内装も外装も桜色にラッピングされたことでも話題になりました。
広告代理店はJWT JAPANだそうです。



夕張夫妻


経営破たんした夕張市が活性化を図るため
夫妻と負債をかけて、こんな自虐的なアピールを生み出しました。幸薄い雰囲気がなんともいえません。
でも、プロモーション部門グランプリ獲得です。実は幸せなのかも。



いずれにも共通しているのは、アイデアだけでなく、結果や効果が伴わないと受賞できないことです。
また、影響力といった観点もはずせません。


キットカット+郵便局は、国民的人気チョコの箱にあて先、メッセージ、送り主を書けるようにし
そのまま郵送媒体として、受験生や頑張っている人を応援するための手段としての利用を考えました。
「キットメール」という名で付加価値を付けて売り出し、なおかつコラボレートした郵便局にも
切手販売、販路拡大ということで大きなメリットをもたらしました。


また、東京大学のすぐ前にある本郷郵便局を素敵に飾って
サクラサク郵便局としたアイデアもすばらしく、高評価だったということです。


アイデアの良さと、実施が比較的容易であったことが高く評価されグランプリに繋がりました。


独自性や独創性、他に与える影響や自社にどんな影響があったかを総合して
結果を出しているといえます。


他への影響力が桁違いだったのは、グランプリを受賞した900万で夢の島生活だと思います。
オーストラリアの広告に対して世界中からの応募がありました。
もちろん、内容に魅力があるのでしょうが、Web+新聞、雑誌という、至ってオーソドックスな組み合わせが
大きな効果を生み出すことは、注目してよい部分だと思います。
周りを大いに巻き込むことが大切で、その渦は大きすぎるくらいがいいことが伺えます。


審査の過程も見えるから、より一層面白いコンクールだといえます。
プロのトップクリエーターがどんなところを見て、どんなところを評価するのかは
素人が見ても楽しいのではと感じます。



ウチも出してみようかな、なんて思いましたか?


出品する側にもいろんなメリットや魅力があります
・自社アピールの場として活用する
・新しいビジネスチャンスを作る場として活用する
・広告主が「クリエイティブの勉強の場」と認知していてカンヌ入りする関係者続出。らしい。


出展したい!と思った場合、少し条件があるようです。
・広告主の了解を得ていること
・有償で請け負っていること、またその実績があること
・国民的感情や宗教的感情または、公共道徳を犯すような作品は断られる
・その国の法に触れていないこと


当たり前の条件ですが、上記を満たしていればエントリーできます。
来年は2010年6月20日~26日です。


良い作品が出来たら、是非検討してみてください。



広告やキャンペーンが効果を出すためには、周囲を大いに巻き込むことが大切です。
また、地道な活動はあとで確実に花開くことも伺えます。


奇をてらうようなアイデアも、もちろん必要だし大切ですが、長期的なキャンペーンや広告には、
昔ながらの確実な方法が、確実な効果が得やすいのだろうと思いました。


最後は基本に立ち返る。やっぱり大切だと大いに感じました。



2009/07/14 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター