米国最大手ドラッグストア・ウォルグリーン

ちょっと値段は高めだけど、お客様が集まってくるドラッグストアがあります。
個々の滞在時間は非常に短いのですが、リピート率が非常に高いのだそうです。
年間延べ14億人以上の顧客が店舗にやってくる、といわれています。



アメリカドラッグストア最大手、ウォルグリーンです。


日本では薬事法改正に伴い、登録販売者制度が6月から施行されます。
ドラッグストア業界はもちろんのこと、今まで薬を販売していない業界にもいろいろ変化が起こると思います。


日本でもお手本にしている企業が多いウォルグリーンについて今回はご紹介していきたいと思います。
お薬を扱うにしても、扱わないにしても、興味深いことが多いと思います。



ウォルグリーンは全米で6600店舗を展開するドラッグストアです。
最近は企業買収などの影響で、完全にゼロではなくなりましたが、長い間、銀行からの借入金や負債などが無い企業でした。
いわゆる、有利子負債ゼロ企業ということです。優良企業だということが伺えます。


ウォルグリーンの販促は、「どうすればお客様が集まるか」
「どうすればお客様が喜んでくれるか」の視点がいつも中心にあります。
この考えを軸に、様々な決断や企業買収を行ってきました。


どのようなサービスを行っているかといいますと・・・


 ドライブスルー営業


ウォルグリーンがさきがけです。
アメリカは日本以上に車社会なので、調剤もドライブスルーです。
あらかじめFAXを入れておけばいいみたいですよ。


 24時間営業


珍しさは減りましたが、これもウォルグリーンがさきがけでした。


 処方箋セービングクラブ


年会費を支払うことで、ジェネリック薬品が自由に購入できるそうです。
実際はウォルマートのほうがかなり安いようです。あまり大々的に行ってません。


 テイク・ケア・ヘルス・システム


医療施設と健康を守るトータル的なシステムを構築しました。
ツアーやクリニックが有名です。


  【ツアー】
 

健康診断ができる医療バス10台で、全米300箇所のウォルグリーン店舗を1年かけて回ります。
コレステロール測定や、血圧検査などの健康診断115ドルがタダだそうです。


  【クリニック】
 

お店や企業内にクリニックを展開しています。
簡単な診察や処方などはここで充分間に合います。
これは、ドラッグストア単体では到底不可能です。
I-トラックス社の子会社であるCHDメリディアンヘルスケアを買収したことで
職場内ヘルスセンターが設置出来る仕組みが整いました。


   【その他】
 

全商品の4割ほどを定番商品とし、EDLP販売
ペットを連れて行っても大丈夫(店舗によるかもしれません)
一部店舗で太陽発電システムを導入している
商品棚にRFIDを取り付け、商品管理をしている
障害者雇用


これらの結果、ドラッグストア業界では売上がぶっちぎりの1位です。


私が通っているスポーツクラブで、病院と協力して血液検診を行っています。
かなりの精度の検査が、いつも通う場所で行えるので、気軽に受ける人がたくさんいます。
テイク・ケア・ヘルス・ツアーのサービスも、似ていると感じました。
バスで国内を1年かけて回るのはなかなかすごい事だと思うのです。
医療費が非常に高いことなどが理由にあるかと思います。
ドラッグストアで気軽に医療、というのは喜ばれることだろうと感じます。


アメリカは国土が広く、様々な人種と文化、地域格差が共存しています。
6600店ある店舗を知ることも、お客様を知ることも、ともに非常に困難です。


だからウォルグリーンは「顧客を理解している」という考え方をしません。
「分からないから理解しようとする努力」をたゆまず続けています。


このような姿勢が「どうすればお客様が喜ぶか」の答えをもたらすのだと思います。
他社より先に新しいサービスを打ち出す姿勢は、学ぶべき所が沢山あります。



創始者のチャールズ氏は、16才の時に初めて薬局で働きはじめました。
本当はスポーツに関わることをしたかったようなのですが、
地元の靴工場で働いているときに、中指の第一間接までを切断する
大怪我を負ってしまったため、週給4ドルのこの仕事についたそうです。


しかし、この薬局での仕事は一年半で辞めてしまいました。
その後、もっと大きな場所を目指し、1893年にシカゴに移り住みました。


そのシカゴで勤めたドラッグストアの古いやり方が、チャールズさんには合いませんでした。
品揃えも店員の振る舞いも、自分や店の都合に合わせたものでしかなく
相手を理解する姿勢が無いことに納得がいかなかったから、です。


このような状態では、お店は真価を発揮しません。


チャールズさんは「お客のための」店舗を自ら起こし、経営することを決断しました。
あちこちから借金をし、今働いているお店を買収して
1901年、シカゴにドラッグストア・ウォルグリーン1号店が誕生しました。


第1号店


第2号店


お店のクオリティをあげるため、店内を明るくし、買い物をしやすい環境を作りました。
また、自身も薬剤師の資格を取り、質の高い薬を提供できるプラットフォームを作りました。


薬の注文を受けてからお客に渡すまでの時間を短縮するために
まず大きな声で注文を復唱し、奥のスタッフがすぐに調剤に取り掛かれるようにしました。
そのあと世間話などをしているうちに薬を渡すことができたそうで
お客はあまりの速さに驚いたそうです。


調剤室も、作業に手間がかからないよう工夫された配置になっていたのでしょう。
”Two Minute Drill” 2分間のドリルとスタッフたちからは言われていたそうで
実質これくらいの時間でお渡ししていたのだと思われます。


寒いときには暖かいものを、暑いときには冷たいものを提供する。
今では当たり前のことを当時はしていませんでした。気づけば簡単なことですが
こういった気配りとサービスは、当時のドラッグストア業界に大きな波をもたらしました。


その後は調剤・薬だけでなく日用品や食品も取り扱い
1922年には”double-rich chocolate malted milk”なる人気商品も登場しました。



チャールズさんは1939年、66歳で他界されましたが
彼の精神は今でも脈々と受け継がれて今に至ります。



是非訪れてみたい店舗です。いつかいける日を願って止みません。



2009/03/17 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター