フリークエント・ショッパーズ・プログラム

皆さんは、お店のポイントカードをお持ちですか?


そのカード、有効活用できていますか?


持ってて良かったと思うような出来事はあるでしょうか?


FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)というロイヤリティプログラムがあります。
ポイントカードで収集した顧客情報を駆使したサービスです。
流通業に身を置く方ですと、一度は聞いたことがあるでしょう。


日本では成功しない、とか根付かないなどと言われがちですがそれは、分析が非常に難しいことが原因だと思われます。


海外を見渡せば、成功例がもちろんあります。
今月は諸外国のFSPについて少し掘り下げてみたいと思います。



まずは、概要からお話します。


20-80のパレートの法則によると、売上の8割は2割の上位顧客がもたらすと言われています。
企業が大切にしなくてはいけないお客様層です。


この2割の優良顧客に対して、より多くのサービス、還元を行うことで企業と顧客の結びつきはいっそう強くなります。
新規顧客を獲得するコストは既存顧客の5倍以上という説もあるのでコストもかからずにすむ、というメリットがあります。


既存客を大切にすることは、大きな利益につながります。


この層への特別なサービス実現するために、カードを利用したサービスを実施する仕組みが確立されていきました。


具体的には、お客様の基本情報を付帯したポイントカードを発行し、購入商品の履歴や時期など、様々なデータを蓄積します。
その情報を、購入点数、金額や来店頻度をはじめとし、様々な角度から分析し、お客様に最適なサービスを割り出し提供していきます。


優良固定客の維持、拡大のために効率的な販売戦略を行うマーケティング手法です。



サービスするべきお客様に最大級のサービスが届きいわゆるバーゲンハンターにはあまりうまみがない。
お店に利益をもたらすお客様にきちんと感謝の意を表せる仕組みです。


このFSP、どのように取り組み、成功を収めたのか、実例を2点ご紹介します。



 CVSファーマシー

 

ラスベガス観光客の御用達ドラッグストアです。
24時間営業で気軽に買い物ができ、結構安全なところにあるためこのようになっている、と聞きました。もちろん行ったことはありません。


店内は、大きな通路と低いゴンドラで、非常に見やすいつくりとなっています。


最近の店舗は、入り口から奥までの主通路をカーブさせ、調剤室まで行きやすくしているそうです。
また、短めのゴンドラを用い、エンドをたくさん取れるようにしてプロモーションスペースを大きく取るようなつくりになっています。


ドラッグストア業界は調剤が成長傾向にあったためか、CVSも調剤に力を入れています。
そのため、売上構成比の70%を占めています。
調剤だけでなく、専門性をより向上させるため、医療機関と提携して、看護士を配置し
検査や簡単な病気の予防や治療を実施しているそうです。


余談ですが、病気の治療や予防の実施は決して珍しいことでもないようです。
内科で実施しているような診察、予防接種をはじめ
糖尿病やアレルギー対策のプログラムまで実施しているのだそうです。
医療が日本より身近にあるようですね。少々驚きました。
しかし、最近は利益確保が難しいようで、減少傾向にある模様です。


CVS Pharmacyでは【CVS ExtraCare】というロイヤルティプログラムを展開しており現在5000万人もの会員がいます。


以下のようなサービスを実施しています。


 ・店舗やWebを問わず、買い物ごとに購入額の2%のポイント(Extra Back)がつく。
  3ヶ月毎に出力でき、実際に割引可能。購入額に比例して割引額も大きくなる。

 ・処方箋2点で1ポイントがつく

 ・買い物精算時に、レシートに関連商品のクーポン券がいくつか印刷される
  Extra Care Couponといい、使用期限は2週間。
  (ビタミン剤を5ドル以上買えば1.5ドルの値引き
  スキンケア製品を20ドル以上買うと5ドルの値引き など。)

 ・クーポンがメールで届く。


メールで届くクーポンは、かなりのデータ分析がされているようです。
例えばヘアカラーを購入、最近スキンケア用品を購入してない顧客には
アンチエイジング関連の化粧品を特価で販売するクーポンが送られてきます。
購入時期、サイクル、年齢などを加味しないとこの結果は出てきません。
すばらしいです。


FSPを効果的に利用することで、固定客に対して確実に還元することができます。
朝から気張って並んだバーゲンハンターにばかり利益を持っていかれて
確実に還元したいお客様には何もできない、という事態が回避できます。


サービスすべきお客様に正しくサービスすることができた結果、なんと1600億円の節約につながったそうです。
さすが、会員数5000万人、アメリカ42州とワシントンDCとで6200店舗が営業しているだけあります。
アメリカでも最大級のFSPだそうで、やはり桁違いの結果です。



 テスコ


イギリス最大手のスーパーマーケットです。
アメリカではFresh & Easyという名前で出店しています。


店は白・赤・青が基調となっています。床屋みたいです、
一方、アメリカの店舗は茶と緑を基調としたアースカラーで、地球に優しそうです。
出店する国によって、アプローチが異なるようですね。


店内は低めの什器と広い通路の組み合わせのため、広く見えます。
写真で見た限りの感想です。もちろん、行ったことはありません。


テスコは夜12時くらいまで営業しており、便利な様子が伺えます。
ネットスーパーも充実しており、利用者も多いと聞きました。


また余談ですが、イギリスではネットスーパーが市民権を得ています。
イギリスのスーパーマーケット大手4社の価格比較ができるサイトまであるくらいです。


さて。
そんなテスコのロイヤルティ・プログラムである【クラブカード】は、
「テスコで買い物をしてくれてありがとう」 の気持ちが根底にあるそうです。


お客様のお買上げによってテスコが得たものを、感謝の気持ちとしてポイントとして提供している、という考え方です。


感謝 = 割引額となるのですが、バーゲンハンターには美味しい思いをさせるわけには行かない、
という厳しい姿勢で臨むでもなく、アメリカよりも少し柔らかなコンセプトを持っているように感じます。


テスコのFSPは切り口が非常に珍しく、そして深いです。


「同じものを買った顧客が、同じように反応するはずがない」という前提に立っています。
顧客が違えば当然求めるものが異なるのであるから、浪費にしかならないような不要な情報を提供するのではなく、
「お客様個人の買い物データの分析結果から適切な情報を提供しましょう」
という、恐ろしく壮大で細やかな仕組みで動いています。


「不必要な情報は浪費にしかならない」
けだし名言だと思います。


ロイヤリティプログラムを実施する際、カードのブランド力UPに注力しました。
会員獲得キャンペーンを大々的に打ち出し、TVCFやコールセンター、ネット申し込みと
あらゆる窓口を設けました。
その結果、現在は1100万人が会員となっています。イギリスの成人人口のおよそ1/4です。


テスコのクラブカードのデータベースは、世界一複雑だといわれています。
一般的なFSPは「What」の視点で分析がなされていますが、
テスコは「5W1H」の観点から掘り下げているそうです。


各種分析、適切なアプローチは、顧客の購買行動に変化をもたらします。
来店頻度や1回の購入単価を挙げることに成功したり
購入する商品の系統までもが変わっていったといいます。 


また、継続して買っていただけるようなアプローチもしたそうです。


テスコでは、「ロイヤリティプログラムはマーケティング担当がすればいい」と
考えてるようでは失敗するという観念のもと、ビジネスの意思決定にもクラブカードを活用しています。
社長や役員たちの声は、カードデータで覆ります。


取り組みに対する覚悟を感じました。



「顧客分析」のステップは、思ったほど多くありません。


 1.お客様の情報を収集し、POSデータとお客様とが結び付けられるようなインフラを作る

 2.マーケティングの予算を重点顧客に配分できるような分析の実施

 3.優良顧客に支持されるような店作りをする


およそこんな感じだと聞いたことがあります。


皆さんにとっての「優良顧客」とはどのようなお客様でしょう?



弊社社内アンケートでも、いずれポイントカードを取り上げます。
10月くらいになるかと思われます。
お店が実施するお客様へのアプローチがどのようなものか
是非参考にしてみてください。



2008/08/12 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター