ジーンズのこだわりぬいた販促

今回はターゲットをしぼって訴求ポイントをアピールすることで
売上を増加させた、海外の販促事例をご紹介します。


それは普段何気なく売られているジーンズに取り入れられた販促なのです。


このジーンズの特長は、
「素材は伸縮性が利いていて、股上は深く、ポケットが付いている」
と言うことです。


はて・・・。
これを聞いても、普段私達が購入するジーンズとなんら変わりは
ないかと思うのではないでしょうか。
私もこれが売りだとしたら他のジーンズとどこが違うのか分かりません。


こんなどこにでもあるジーンズをどうやって売上増加に結びつけたのか。
今回はこの販促事例をご紹介します。


 


下の写真のジーンズは、イタリア北東にあるアルクッズという会社が
2006年にイスラム教徒の方々を対象に作成したジーンズです。


なぜこんなどこにでもありそうなジーンズが、
しかもイスラム教徒の方々を対象に販売されたのでしょうか。
そこには、発想の転換による「見せ方」が存在していたのです。


では、その「見せ方」を5つご紹介します。


 見せ方 その1 「ブランド名」

 

(http://www.alqudsjeans.com/[英文]より)


まず、知名度にかかわる名前にこだわったのです。
ブランド名を、イスラム教徒の方々を対象に「Al-Quds」と名付けています。
「Al Quds」(アル-クッドゥ)とは、アラビア語でエルサレムの意味です。


ジーンズには、しっかりと「Al Quds Jeans」と書かれたタグが取り付けられています。


「エルサレムのジーンズ」、それだけでイスラム教徒の方々は興味を惹かれることでしょう。


 見せ方 その2 「伸縮性」

 

伸縮性は、最近では当たり前の機能かと思います。
しかし、それを 「お祈りでひざまづきやすい機能」と言っています


イスラム教徒には、「礼拝(サラート)」が課せられています。
これは聖地のカアバ神殿の方向に向かい、夜明け、正午、午後、日没、夜半の1日計5回お祈りをすることだそうです。
さらに、1回のお祈りは15分くらい続き、その間にひざまづいたり立ったりする行動を何回もするそうです。


そこにねらい目をつけ、「伸縮性」と言う一言で終わらすのではなく
「1日何回もひざまずいたり立ち上がったりするお祈りでも快適な着心地」
と、売り文句を考え出しました。


 見せ方 その3 「深い股上」

 

股上の深い浅いは個人の好みに依存するものだと思います。
しかし、あえて「深い股上」を推しているのです。


その理由は、お祈りする時の伏す行動で肌が見えないようにするためなのです。
最近流行りの股上の浅いものでは、下着や肌が見えてしまいお祈りに不謹慎なのかもしれません。


そこで、深い股上にすることで「お祈りで伏せたときに、肌が見えるような不作法な振る舞いを防止します」と謳ったのです。


こう理由をつけることで、「深い股上」が重要であるように感じます。


 見せ方 その4 「ポケット」

 


ポケットの付いていないジーンズなんてむしろないような気がします。
「ポケットがついていますよ」なんて売り文句にあっても
「当たり前」としか思えないです。


しかし、この会社はこんな当たり前なところにも講釈をつけているのです。


それは、「お祈りに必要な道具が収納できるよう、特別に大きなポケットがたくさんあります」
と言っているのです。


ちなみに、お祈りに必要な道具として磁石や帽子などがあるそうです。
前者はどこにいてもメッカの方向を確かめられるように、
そして後者は髪の毛を直接露出させることは不作法とされているために必需品だとか。


このように、ちょっとしたものを入れるのにもこのポケットは最適だと言っているのです。


ここまでくると、こじつけのように思いますがこの発想が売上に結び付いたのでしょう。


 見せ方 その5 「神聖なジーンズ」

 

緑色は、イスラム教の神聖な色とされています。


この由来から、ジーンズ作成の際には緑色の縫い糸を
使用したり、タグの文字を緑色にするなど工夫を凝らしています。
緑色を使用することで「神聖なジーンズです」と最後を締めくくっているのです。


まさに、イスラム教徒の方々のために見せ方を変えた販促です。


余談ですが、
このジーンズの作成に関わった人々はイスラム教徒だそうです。
当時パキスタンの工場で約15,000人のイスラム系従業員がジーンズ縫製に関わっていたとのこと。
とことん、イスラム教徒の方々にこだわった一品です。



さて、これで本当に売れているのかと疑問を抱いてしまうかもしれません。
しかし、かなりの売上につながっているようです。


このジーンズは、1本4000円くらいで市場に売り出されているそうです。
値段はとくに普通のジーンズと変わりないような気がします。


ですが、3ヶ月ほどの間で約1万本を売り上げたとのことです。
すごいものです。
しかし、購入した方々がみんなイスラム教徒の方々かどうかは分かっていないようです。
ターゲットが購入しているかどうかは分かりませんが、売上増加に結びついたのは確かなようです。


この人気のためか、新工場を増設しているそうです。
このジーンズ、イスラム教徒以外の方々にも人気がでているのか気になるところです。


以上のように、誰でも考え付くようなちょっとした見せ方なのですが、
ターゲットを絞り、ターゲットの心理を掴んだことでこの販促は成功したのでしょう。


なんの変哲もないものでも、販売の位置づけをし、そこにとことん突っ込んだ販促は成功するようです。
私達の身の回りで普通に売られているものこそ、この販促を使える可能性を秘めているのかもしれませんね。



2008/05/13 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター