携帯電話で手軽にAR販促

ARとは、対象のモノや背景を専用のカメラにかざすと、3D画像やコメントなどが付加されて画面に表示される技術です。
Augmented Realityの略で、拡張現実として知られています。


(pin@clipピナクリ サービスマニュアル(PDF)より)


上の写真はARの一例で、街並みをカメラ越しに見ると、コメントが付加されて画面に表示されています。

バーチャルリアリティ(仮想現実)のような現実には無いものを、
パソコンであたかもそこにあるかのように見せるものとは異なり、
現実世界とネットを結びつける新しい技術として使われています。


AR技術を活用した販促(以下、AR販促)は海外でも展開されていますが、
日本国内では携帯電話で手軽に体験できるような方法で展開されています。

今回は、この国内で展開されていたピナクリの一部であるAR販促をご紹介します。



 pin@clipピナクリ


2009年12月から2010年3月まで、東京急行電鉄㈱とパートナー企業が共同で
経済産業省「e空間実証事業プロジェクト」の一環として、
渋谷駅周辺で「pin@clipピナクリ」というサービスを展開しました。


ピナクリとは、街で見つけた“おもしろい、お気に入り”を書き込んで、
みんなでシェアする携帯電話iPhone向けの新サービスのことです。


そこで、東急ハンズ渋谷店で展開されたAR販促をご紹介します。



 東急ハンズ

 

東急ハンズ渋谷店では、iPhoneに内臓されているカメラで店内を見ると、
商品情報やコメントなどの吹き出しが画面に表示されるAR販促を展開しました。
下の画像がそのイメージです。


(2009.03.08 日経MJ 第2部より)


このAR販促を体験するには、専用のアプリケーションソフトをダウンロードし、
アプリを起動させなければなりません。
ちょっぴり手間のかかるように感じますが、
商品情報やコメントが画面に表示されるので便利なツールのように思います。


東急ハンズ渋谷店では、このAR販促を販促活動調査ツールとして利用した他、
コミュニケーションツールとしても利用しました。
そこで、『販促活動の調査面』と『コミュニケーション面』の2つの利用方法をご紹介します。


 販促活動の調査ツールとしての利用


今後、効果的なAR販促を行うための調査ツールとして、
以下のような2種類の利用方法で活用しました。
ひとつは、どのフロアでAR販促が使われることが多いのか調査するため
もうひとつは、「消費者のいるフロアに関する情報」と「別のフロアに関する情報」、
どちらの情報が販促に役立つのかという調査をするためにも利用しました。


まず前者では、どの位置でAR販促を利用しているのか特定するために、
専用の情報システムを構築しました。
その理由は、屋外であればGPSで位置を測定することができますが、
店内ではGPS機能を利用できないためです。
温度や音声を感知するセンサーを天井に設置し、利用者がいる位置を推定します。


そして後者では、自動的に消費者に片方の情報だけを表示し、
吹き出しを見た消費者がその後どんな行動をとるのか調査しました。


これらの結果から、どのフロアで使わることが多いか、またどんな情報を持った
販促が効果的なのか調査し、今後につなげていくそうです。


 コミュニケーションツールとしての利用


担当者や消費者の意見をシェアできるという機能を利用し、コミュニケーションツールとしても利用しました。


まず、消費者がコメントを投稿します。
そのコメントを別の消費者が見て、その売り場に足を運ぶ。
それだけで、集客力アップにつながります。
また、吹き出しがあちこちで表示されれば、各売り場に足を運ぶ為、店舗内の滞在時間も長くなります。
こうして、売上増加も期待できるのです。


しかし、誰でも自由にコメントが投稿できるということは、
必ずしも前向きなコメントばかりが投稿されるとは限りません。
そこで、東急ハンズ渋谷店では疑問や苦情などのコメントにすぐ対応できるよう、
各売り場にAR担当者を配置する工夫をしたのです。
この取り組みは、お客様の要望をすぐに叶えることができ、企業のイメージアップにもつながるように思います。


このAR販促のアプリのダウンロード件数は1万件を超え、コメント投稿数も1千件を超えるという結果で終了しました。
ピナクリはこの結果を参考にサービス向上のための研究を行うそうです。
そして、東急ハンズでは今後もARを取り入れた販促を継続していくとか。
それだけ、効果があったことがうかがえます。



ARは携帯電話で体験できるようになり、大変身近なものになってきたように思います。


まだまだ専用の携帯電話端末が必要であったり、専用のアプリが必要であったりなどと制約があります。
この制約が緩和されることで、利用者はかなり増えるように思います。


例えば、ごちゃごちゃした売り場で商品がなかなか見つからない。
吹き出しで商品名が表示されたり、検索できたりしたら便利に思います。
他に、店員に聞きたいことがあるけれど話しかけづらい。
そんな時、質問を投稿し、その吹き出しを見て担当者が答えてくれたら助かります。


ARは使い方一つで、集客力アップや滞在時間を長くする効果、企業イメージアップ、
さらには売上増加にもつなげられるように思います。
今後、どう活用していくかが、ポイントになると言えそうです。



2010/04/13 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター