2011年米国ヒット商品からビジネスを学ぶ

毎年この時期にアメリカの広告専門誌Advertising Ageが発表しているヒット商品をチェックしています。
その数は年々減り続け2011年は26種類と、2010年より11種類も減ってしまいました。


今回選ばれたヒット商品に目新しいものは少なく、
従来からある商品や企業が販促を工夫して展開することで注目を浴びる傾向がありました。
中でも、TwitterやFacebookなどのインターネットを利用した
コミュニケーションを促進するサービス「ソーシャルメディア」の活用が目立ちました。
ヒット商品の詳細に関しては、Advertising Ageのサイトをご覧ください。



(AdvertisingAge[英文]より)


今回はそのヒット商品の中で、ターゲット目線でアイデアが生まれ、
ソーシャルメディアを上手に活用したビジネスがありましたのでご紹介したいと思います。


 

 Cheggの教科書レンタルサービス


Cheggは2005年にアメリカのアイオワ州で設立された、米国大学生向けのオンライン教科書レンタル会社です。


設立当時は学生たちが好きなものを売買できるサイトでした。
そのサイト内で中古の教科書を探している学生が多く、中古の教科書に需要があることを発見しました。


米国大学の教科書は非常に高価で年間平均約1000ドル以上にも上り、
さらに単位取得までの短期間しか使用しない学生が多いと言われています。


そこで教科書をレンタルするビジネスアイデアが生まれ、
2007年に教科書をレンタルするサービスChegg.comが運営されるようになったのです。
「Chegg」は、収入のない学生がなぜ高価な教科書を購入することができるのかという
「鶏が先か、卵が先か」になぞらえて名付けられました。


Cheggのサービスは、高価な大学の教科書を定価の7~8割引きでレンタルできること。
さらに大学の学期制に合わせて期間を選択することができたり、実際に使い興味があったら買い取ることができたり、
返却には料金と手間の掛からない仕組みになっています。


またレンタル以外にも、使わなくなった教科書を売ることができます。
売った代金は現金振り込みで受け取るかレンタル料金の支払いに使うことが可能です。


ここでCheggのレンタルの流れに触れてみたいと思います。



レンタルにおいてはルールがあり、
蛍光マーカーで印をつける程度は許されていますが、書き込みは禁止になっています。
破損がひどく使えない状態にした場合は、新規の教科書に入れ替えるために全額支払いが要求されます。


Cheggが注目を浴びるようになったのは、以下のような2つの取り組みも行ったからだと言われています。


ひとつは、学生目線でソーシャルメディアを上手く活用したこと。
レンタルが成立すると学生にも謝礼として報酬が支払われる仕組みを提供し、
学生自身にFacebookで教科書レンタルの宣伝をさせました。
こうすることで、より多くの学生に教科書レンタルについて情報伝達する機会を設けました。
さらに、学生目線で成績の良い学生がチェックを入れた教科書は要点が分かりやすいと、価値を見いだし需要を高めました。
こうしてCheggはアイデアと口コミを利用してより一層広告効果を上げたのです。


もうひとつは、積極的に環境保護にも努めたこと。
教科書に限った事ではありませんが、書籍全体で年間約3000万本もの木が使われていると言われています。
短期間しか使われないことの多い大学の教科書は、環境問題につながると考えられます。
そこで、Cheggはレンタルをした場合や売った場合、買った場合、寄付と全ての取引1冊につき
1本植林するという活動を行っているのです。


現在、アメリカでは多くの企業が教科書レンタルビジネスに参入しているそうですが、
Cheggはその先駆者となりました。



教科書レンタルビジネスは大学生の検索結果からヒントを得て、アイデアが生まれました。
さらには優秀な学生がチェックを入れた教科書の価値を見いだしたり、
多くの学生が使用しているソーシャルメディアを活用し学生自身が営業活動できる仕組みを提供したり、
学生目線でニーズを細かく叶えた取り組みが注目されました。


今回は米国大学生向けの教科書レンタルサービスと狭いニーズを狙って展開されたサービスに触れてきましたが、
意外と身近なところに需要を獲得できるビジネスやソーシャルメディアの使い方は存在するかもしれません。


アイデアの生まれ方、ツールの使い方など見習い、
小売流通業の場合はどんなことがあるのかこれからも思案をめぐらすよう努めたいと思います。



2012/01/26 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター