ミール・ソリューションで市場開拓

前回はスーパーマーケット・トレードショー2012の基調講演を参考に、
成長戦略の方向性を分析・評価するための製品-市場成長マトリクスから
市場浸透に該当する米国小売業のマーケティング事例をご紹介しました。


そこで他の戦略の事例も気になるという声を受け、
今回は市場開拓事例を取り上げてみたいと思います。




製品-市場成長マトリクスと① 市場浸透のマーケティング事例の詳細は
売上げを2倍以上にした仕組み」をご覧ください。
では、早速マーケティング事例に触れてみたいと思います。


 ミール・ソリューション

 

まず最初に市場開拓戦略について簡単に説明したいと思います。


市場開拓戦略とは、新しく市場を開拓して、既存の商品の販売を伸ばす成長戦略です。
潜在的新規顧客の発見や新しいチャネルの構築、新しい販売地域への進出があり、
例えば、国内向けの商品を海外にも販売することがこれにあたります。


この事例として、オランダの多国籍企業である大手スーパーマーケットAholdの米国法人AholdUSAが実施した、
新しい地域への店舗展開事例をご紹介したいと思います。


AholdUSAは、2009年にアメリカバージニア州リッチモンドを地盤とするUkrop’sを買収し、
新しい地域へ店舗進出の足がかりをつかみました。


Ukrop’sは家族経営の非上場企業で、自社で食品加工工場を持つ調理済み食品と
高付加価値商品の販売が強みの高級スーパーです。


働く主婦や核家族が増加した米国では、家庭で料理を一から作るのではなく、
惣菜や下ごしらえされた食材を購入し手早く食事を作ることに需要があります。
Ukrop’sは特に、この食卓の悩みを解決するミール・ソリューションの先進企業として
全米小売業では有名であり、競合との差別化もできていました。


この強みを活かしたAholdUSAの新しい地域への店舗展開における
問題点と対策・実行、結果に触れてみたいと思います。


 問題点


AholdUSAが新しい地域に店舗展開する際に3つの問題点がありました。


一つ目は、知名度が低いこと。
AholdUSA傘下で有名なスーパーマーケットにGiantがあります。
しかし、新しく店舗展開するリッチモンドではGianの知名度は低いのです。
知名度の低いスーパーマーケットの新店は、
アメリカの消費者には受け入れられにくく、客足が伸びない傾向にあります。
さらに、リッチモンドにはWal-Martなどの競合が多く存在することも集客に影響を及ぼします。


二つ目は、地元消費者がAholdUSAの経営に付いてきてくれるのかということ。
Ukrop’sは創業者の宗教的信条により酒類の販売禁止と日曜休業で、
手厚いサービスは地元消費者に人気でした。
しかし、AholdUSAが経営することによる対応の変化で
地元消費者が離れてしまわないかという問題があります。


三つ目は、ミール・ソリューションで差別化が実現できるのかということ。
Ukrop’は自社で食品加工工場を持ち、大量製造能力に優れ、調理済み食品に強く、
競合の多いリッチモンドでも、ミールソリューションで差別化を図ってきました。
しかし、AholdUSAの場合は他店舗と離れていることによるインフラの悪化や
調理済み加工食品の大量製造能力の低さが懸念されます。


以上のような問題の対策として、下記のような店舗展開に取り組みました。


 対策と実行


まず、知名度が低いことに対する対策として、ブランド戦略を実行しました。
店舗名は「MARTIN’S」とし、リッチモンドで有名であったUkrop’sの名も建物に残して新たな店舗名を広めました。


そして、AholdUSAは酒類を扱い、日曜営業も実施しました。
Ukrop’sの経営とは大幅に変更したものの、地元消費者がAholdUSAから離れることはありませんでした。


最後に、差別化対策としてミール・ソリューションを強化しました。
アメリカの食卓の最大の悩みである調理作業のニーズに応えるため、
Ukrop’sから調理済み食品の大量生産方法や品揃えなどを学び強化していきました。


 結果


競合が厳しい地域の中で、消費者のニーズに的確に応えたミール・ソリューションで差別化に成功しました。
サービス面にも力を入れ、マーケティングも地域の風習に合わせる努力を行った結果、
地元の消費者離れを防ぐことができています。
中にはサービスの変化に愛想を尽かし、競合に流れてしまう年配顧客もいました。
しかし、自社の位置付けを理解し戦略を取り組むことで、
低価格戦略が浸透している中でも、生き残ることができているのです。



最後になりますが、競合の多い地域に展開して生き残れたことは、
消費者のニーズに的確に応えたサービスが提供できているからだと思います。


自社の位置付けを理解し、強みをおおいに活かしていくことの大切さを感じました。



2012/03/23 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター