米国に小型SMの展開で多角化

成長戦略の方向性を分析・評価するための製品-市場成長マトリクスから
市場浸透と市場開拓、製品開発に該当する米国小売業のマーケティング事例を取り上げてきました。


今回は4つ目、多角化のマーケティング事例に触れたいと思います。




市場浸透と市場開拓、製品開発のマーケティング事例は下記をご覧ください。


①市場浸透のマーケティング事例 ⇒ 「Guiding Starsで市場浸透-売上げを2倍以上にした仕組み」
②市場開拓のマーケティング事例 ⇒ 「ミール・ソリューションで市場開拓」
③製品開発のマーケティング事例 ⇒ 「地元商品で製品開発」


では、早速多角化のマーケティング事例に触れてみたいと思います。


 アメリカに小型スーパーマーケットの展開で多角化

 

まず最初に多角化戦略について簡単に説明したいと思います。


多角化戦略とは、新しい製品分野で新しい市場分野に乗り出し、新しい事業を展開する成長戦略です。
空港会社が音楽流通ビジネスを展開することなどがこれにあたります。


この事例として、イギリスでトップシェアをもつスーパーマーケットテスコの
アメリカ進出事例に触れてみたいと思います。


テスコは2007年、アメリカのサンディエゴに食品スーパーマーケット「Fresh&Easy」を展開しました。
この店舗を展開するにあたり、アメリカの食品スーパーマーケット事情と現地消費者行動などを
約3年間かけて徹底的に調査しました。
調査の結果、Fresh&Easyがアメリカでは成長性の高いビジネスになると経営判断を下し、
イギリスのテスコとは異なったコンセプトでアメリカ進出を実現したのです。


そのコンセプトには、以下のようなことがあります。


 商品


 店内を徹底的にシンプルにすることで、すべての商品に対してEveryday Low Priceを実現。
 商品は約3500品目に絞り込み、まとめ買いをしようとする消費者ではなく、
 必要なものを必要な時に必要な分だけ購入する補充買い消費者をターゲットとしています。


 生鮮食品に関してはパッケージ済みのものを販売。
 店内加工を減らし、バラ売りはしません。


 また、商品の半分はプライベートブランド(以下、PB)商品を取り扱い、
 PB商品においてはテスコのPB商品ではなく、独自のPB商品を展開しています。
 PB商品とNB(ナショナルブランド)商品の使い分けも行っています。


 店舗


 スーパーマーケット以下、コンビニエンスストア以上の300坪程度の規模です。


 店内・レイアウト


 入口付近ですぐに食べたい商品がそろうような売り場になっており、
 レジは入口付近にあるため、スムーズに買い物を済ませることができます。
 即食、生鮮、惣菜、日配を重視した商品構成になっています。
 主婦の意見を反映し、レジ付近には子どもが欲しがるような商品は置かない工夫がされています。
 

 レジに関してはアメリカでは珍しいセルフチェックアウトレジ(無人レジ)のみが設置されています。
 アメリカでは、有人レジもしくは10品目以下の買い物をする際に使用するエクスプレスレジ(無人レジ)が
 浸透している中、すべてのレジが無人レジになっています。
 そういったことから全体の取扱商品数も少なく、
 補足的な買い物をする客層に絞り込んでいることが伺えます。


 また、環境に配慮しLEDを多用することで、約30%の節約を実施しました。


以上がオープン当時の状況でしたが、売り場はあまりにも殺風景で魅力がないこと、
パッケージ済み商品以外の取り扱いも必要であることなど問題点が浮き彫りとなり、
課題の見直しを行い、アメリカの文化に合わせながら数年の間に数百店舗を全米に展開していきました。


国境を越えた土地で、イギリスの経営方針とはガラリと変えた
食品スーパーマーケットFresh&Easyの展開はまずまずの成功だと言えそうです。
しかし、まだまだ成長の過程であり、生き残っていくためには常に見直しと改善、
アメリカの文化にあった戦略が必要だと思います。



最後になりますが、
オープンしてわずか数年で数百店舗を展開したFresh&Easy。
アメリカでは新形態でありながらも、現地消費者の需要に合わせて
変化しながら展開することで店舗は存続しています。
しかし多くの課題が残る現在、どう適応していくかが今後も存続していくためには重要になってきます。


Fresh&Easyは小型スーパーマーケットであり、日本のスーパーマーケット形態と似ていることからも、
参考にできる部分が多くあるのかもしれません。



2012/05/15 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター