マインドシェアを高めるための取り組み

今回はマインドシェアの獲得に重きを置いているアメリカのスーパーマーケットの取り組みをご紹介します。


マインドシェアとは、消費者の心に占める企業ブランドや商品ブランドの占有率を言います。
商品の購入や施設の利用などを考える時、最初に浮かぶ商品や企業はマインドシェアが高く、
そのまま購入や利用に結び付く可能性が高くなり、売上増加が期待できます。


そこで、今回はホールフーズで導入されているマインドシェアを高めるシステムを取り上げたいと思います。



 商品格付けシステム


オーガニック(無添加・無農薬の食料品)で有名なホールフーズではマインドシェアを高めるため、
売り場ごとに様々な見方で商品を格付けし、消費者に提供するシステムを導入しています。


 【鮮魚売り場】 漁業に目を向けた格付けシステム (Wild-Caught Seafood Sustainability Ratings)


魚介類の数や漁獲方法、漁獲高、海洋生態系への影響を評価して3色のロゴで格付けするシステムが、
2010年9月に導入されました。
この格付けは、海洋生態系の保全活動を行っている非営利団体のブルーオーシャン協会と
モントレー水族館が提携して行っています。


 

以下のような3色のロゴで格付けされ、
格付けに関する内容の掲示物やプライスカードなどに対象のロゴを記載して消費者に訴求しています。

        

回避 グッド ベスト

(http://www.wholefoodsmarket.com/mission-values/seafood-sustainability/wild-caught-seafood-sustainability-ratings[英文]より)


回避はむやみに漁獲することによって数が問題となっており、また他の魚介類などにも悪影響を及ぼすような漁獲方法であるため、
該当する魚介類は現在ホールフーズでは取り扱っていません。 
グッドはむやみに漁獲することは改善されつつも数や漁獲方法に一部懸案される事項が残っていること、 
ベストは数は比較的豊富で、環境に配慮した漁獲方法であることを表しています。



(http://www.wholefoodsmarket.com/blog/whole-story/new-wild-caught-seafood-sustainability-ratings[英文]より)


この格付けシステムによって、取り扱う魚介類が減ってしまった反面、
魚介類の生態系や環境などに配慮している企業であるというイメージアップを確実に図っています。


 【精肉売り場】 家畜飼育方法に目を向けた5段階格付けシステム (5-Step Animal Welfare Rating)


家畜飼育の仕方で牛肉や豚肉、鶏肉を格付けするシステムが、2011年2月に導入されました。
第三者監査機関の調査員が、取引先となる牧場や養豚場、養鶏場に訪れて、
あらかじめ設定されている423項目の条件で評価します。


以下のようにステップ1からステップ5+までに格付けされ、
鮮魚売り場同様、消費者がひと目で分かるように訴求しています。


Step 1
 カゴや柵に長期間入れられず、密集された状態にも置かれていないこと   
Step 2  環境が豊かであること
Step 3  屋外での活動が奨励されていること
Step 4  放牧中心であること
Step 5  身体に手が加えられていないこと (鼻輪や断尾、焼き印などがされてないこと)
Step 5+  生まれてから加工されるまで同じ農場で過ごしていること


ホールフーズでは、最低でもSTEP1をクリアした精肉が販売されています。



(https://www.facebook.com/photo.php?v=109920155750350&set=vb.24922591487&type=2&theater[facebook]より、動画の一部を抜粋)


この格付けシステムによって、品質だけではなく、今まで意識したことがないような家畜飼育環境についても
知る機会ができ、精肉のマインドシェアを高めることに結びつけているのです。


 【日用品売り場 [家庭用洗剤]】 エコに目を向けた格付けシステム (Eco-Scale Rating System)


ホールフーズが独自に開発した基準でレッド、オレンジ、イエロー、グリーンの4つの段階に格付けするシステムが、2011年4月に導入されました。

以下のような条件で格付けされます。

               

レッド オレンジ イエロー グリーン

(http://www.wholefoodsmarket.com/mission-values/environmental-stewardship/eco-scale/rating-system[英文]より)


レッドは基準に達していないことを表し、該当商品はホールフーズでは取り扱っていません。
オレンジは、以下のような基準が設定されています。


 ・パッケージに成分が表示されてすべて明白であること 
 ・第三者機構が基準に達しているか調査していること 
 ・環境に影響を与える成分や安全に関わる成分が含まれていないこと
 ・有毒なホルムアルデヒドを発散させる可能性がある防腐剤や保存料が使われていないこと 
 ・リン酸、塩素、合成着色料が使われていないこと
 ・動物実験を行っていないこと


イエローは、オレンジに加え以下のような基準が設定されています。


 ・100%天然香料であること
 ・環境に悪影響を与える成分や安全に関わる成分が含まれていないこと
 ・発がん性をもつニトロソアミンや不純物を含む、
  ジエタノールアミン、トリエタノール、モノエタノールアミンなどの界面活性剤が含まれていないこと
 ・非再生可能資源から作られた石油由来成分が含まれていないこと


最も評価の高いグリーンは、オレンジとイエローに加え以下のような条件が設定されています。


 ・植物由来成分、もしくは天然由来成分であること
 ・石油由来成分が含まれていないこと



(左画像:http://media.wholefoodsmarket.com/news/whole-foods-market-greens-up-cleaning-aisle[英文]より、
中央・右画像:http://usatoday30.usatoday.com/news/health/wellness/story/2012-04-11/household-green-cleaning/54324780/1[英文]より)


この格付けシステムは、環境に配慮している企業というイメージアップを図るだけではなく、
敏感肌やアレルギーのある人の悩みにも応えた売り場になっています。
ペットや小さい子どものいる家庭などにも需要が望め、確実にマインドシェアは高まったと言えます。


 【青果売り場】 これから始まる格付けシステム


上記の格付けシステムに加え、2014年9月をめどに青果売り場でも格付けシステムが導入されるそうです。


廃棄物の処理やリサイクル、パッケージング、エネルギー管理、農業労働者の福祉に加え、
ミツバチが巣を放棄して姿を消す蜂群崩壊症候群も配慮し、グッド、ベター、ベストの3段階で格付けされます。


2010年から増え続ける売り場ごとの格付けシステム、
商品ひとつひとつを調査するには並々ならぬ手間やコストが考えられます。

それでも増え続ける格付けは、消費者に受け入れられていると共に、
店舗側にも費用対効果が大きいからだと言えます。



最後に、ホールフーズの格付けは取り扱い商品への自信を表しているように感じます。


鮮魚、精肉売り場の格付けに関しては鮮度やおいしさを表しているわけではありませんが、
並んでいる商品に対する責任や思いを感じることができ、マインドシェアを少しずつでも高めていると言えます。


今後、売り場ごとに見方や評価方法が異なる格付けシステムの増加は複雑化が考えられます。
青果売り場の格付けに加え、こうした時にどう対応していくのかも追っていきたいですね。



2013/10/22 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター