フェアトレードの行方

国際フェアトレードラベル機構は2014年1月27日、
「フェアトレード調達プログラム」という新たな枠組みを発表しました。
このプログラムにアジアの企業からは、イオンが初めて参加すると発表されました。


今回はフェアトレードとフェアトレード調達プログラム、
そしてフェアトレードを普及させた取り組みについて取り上げたいと思います。



 フェアトレードとは

 

フェアトレードとは直訳すると公平な貿易です。


現在の国際貿易の仕組みは、経済的にも社会的にも立場の弱い開発途上国の人々にとって、
時にアンフェアな場合があり、貧困を拡大させる可能性があります。
こうした貿易に問題意識を持ち、経済格差を解消するために、
もうひとつの貿易の形として「フェアトレード運動」が始まりました。


この運動は途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することで、
立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指しています。


そして、フェアトレードを広めるために明確な基準を設定し、基準を守った製品にはラベルを貼り付けて
分かりやすく伝えるフェアトレード・ラベル運動が開始されました。
ラベルのデザインなどは下記FAIRTRADE JAPANのホームページ画像をクリックしてご覧ください。



このラベル運動では、原料が生産されてから、輸出入、加工、製造過程を経て
フェアトレード認証製品として完成品となるまでの全過程で基準が守られている場合に、
国際フェアトレード認証ラベルとよばれるラベルを貼り付けることができます。


1980年代のオランダで始まり、またたく間にヨーロッパ各国に広がりました。
1997年には国際フェアトレードラベル機構が発足し、
現在では22のラベル推進組織、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの3つの生産者ネットワーク組織が
生産者支援活動やフェアトレード普及啓発活動を行っています。


海外では多くの企業、団体がラベル運動に賛同し、ここ数年で急激な成長を遂げました。
フェアトレード先進国とも言えるイギリスやアイルランド、スイス、オランダ、オーストリア、フィンランドでの
認知度は80%以上を超えています。


一方日本では、1993年にフェアトレードラベル運動が導入され、
2002年後半ごろから身近なコーヒーショップやスーパーマーケットなどでも
フェアトレード認証製品が販売されるようになりました。
こうして2008年までには、毎年30~50%の成長率で拡大してきました。


2010年以降には新しいカテゴリーに広がるだけでなく、
業務用製品にも展開が広がり、外食市場にも広がっていきました。


次に、フェアトレード調達プログラムについてです。


 フェアトレード調達プログラム

 

以上のような認証制度に加え、2014年1月27日から新たな枠組みとして、
フェアトレード調達プログラムが発表されました。


このプログラムは企業が特定の原材料に絞り、製品単位ではなく、事業全体や製品ラインナップ全体に
幅広くフェアトレード認証原材料を組み入れることで数年に渡って調達量を増やしていく目標を設定することです。
カカオ、砂糖、コットンを対象に始まります。
フェアトレードでの取引量を増やしていく新たな機会の提供も担っています。


このプログラムに、アジアからは日本の大手小売業イオンが最初の企業として参加し、
2020年までにフェアトレード認証カカオの調達量を2012年対比の10倍にすると発表しています。


 イギリスでフェアトレードを普及させた取り組み

 

フェアトレードが最も消費者に認知されているイギリスでの取り組みに触れてみたいと思います。


1998年に設立したイギリスの大手チョコレート会社The Day Chocolate Company(以下、Day社)が
イギリスチョコレート市場に参入したことが大きく影響していると言われています。
この会社はイギリスのNGO(非政府組織)である3社
(化粧品メーカーThe Body Shop、貿易会社Twin Trading、慈善団体Christian Aid)の支援と
イギリス政府のDFIDによる融資、ガーナのカカオ生産者組合によって設立されました。


イギリスのチョコレート市場はCadbury、Nestle、Mardsの大手3社が多くを占めており、
その市場に認知度の低いフェアトレードチョコレートを扱う企業として新規参入する事は非常に難しいことでした。


しかし、戦略的な価格設定とキャンペーンで新規参入を見事成功させたのです。
具体的には、大手が手掛ける有名ブランドに対抗するため、
主力ブランドのフェアトレードチョコレートDivineの衝動買いをしてしまうような価格設定にし、
一般的なチョコレートとして位置付けました。
大手が手掛けている高級チョコレートや有機チョコレートとの差別化を図ることで、
Divineはイギリスの大手スーパーマーケットSainsburyの780店舗で販売されました。


そして、1999年にChristian AidによるStock the chocoというハガキキャンペーンにより、
新たに270店舗が追加されました。


2000年には、初めて子ども市場をターゲットにしたフェアトレードチョコレートDUBBLEを販売。
DUBBLEはイギリスのチャリティー団体Comic Reliefとの共同ブランドであり、
子ども用ホームページで人気を集めたり、イギリスとガーナの子どもたちをつなぐイベントで訴求したり、
教育用教材や子ども用マーケティング資料とセットにして販売しました。
この販促と販売方法が大成功し、大手スーパーマーケットや地域の小売店、大手レンタルビデオチェーンなど、
今までフェアトレードに手を付けていなかった業態へも踏み込むことに成功したのです。


他にも、イギリス生協系スーパーマーケットがDay社と共同のPBチョコレートを販売。
2002年には、全てのPB商品をフェアトレード認証を受けたものにしました。


こうしてDay社の手掛けるフェアトレード商品がイギリスのお菓子市場に定着することで、
フェアトレードの普及につながったのです。


  
左の画像がDivine、右の画像がDUBBLEです。
(http://www.divinechocolate.com/uk/[英文]より)


Day社は学校と協力して商品を配布したり、有名人の応援などにより、
コストを抑えて大きな広告効果をあげることができました。
フェアトレード商品は通常の商品よりもコストがかかりますが、
戦略的な販促や販売方法によって認知度とブランド力を高め、着実に売上げを上げることが出来たのです。



最後になりますが、日本ではフェアトレード商品の認知度はまだまだ低いように感じます。


大手小売業のフェアトレード調達プログラムの参加によって、今後どのように変わっていくのか、
どんな商品、売り方、販促が展開されるのか意識していきたいと思います。



2014/02/25 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター