テスコのネットスーパーから学ぶ2

最近、ネットスーパーに関する記事を雑誌やインターネットで頻繁に見かけます。
再びネットスーパーに兆しが見えてきたのかもしれません。


そこで今回は、その一例として取り上げられることの多い、
テスコのネットスーパーについて触れてみたいと思います。


 

 進化したテスコのネットスーパー


2009年にテスコのネットスーパーについて取り上げたことがあります。
詳しくは「テスコのネットスーパーから学ぶ」をご覧ください。


それから約5年、常に改良を重ねてきた結果、
2013年度のネット販売売上高は25億ポンド(日本円で約4300億円)、
利益は1.27億ポンド(約220億円)となりました。


今回はテスコのネットスーパーの改良された点を3つご紹介したいと思います。

 

 1.店舗対応から物流センタ―(ダークストア)対応へ


テスコのネットスーパーは、物流センターを持たず、
注文者の近くの店舗で専門スタッフがピッキングし、配送することが特徴でした。


商品は店頭販売分とネット販売分とで分けられておらず、初期投資は商品ピッキング用のアプリケーションと
専用端末付きカート、バックヤードでの冷蔵・冷凍保管場所、配送トラック、配送管理アプリケーションのみ。
物流センター等の大規模な投資をせずにネットスーパーを運営してきました。
そのため、テスコによるとネットスーパーの運営初年度から黒字化しているとのことでした。



(http://www.tesco.pl/ezakupy/help/help-about-tesco-ezakupy.php[英文]より)


しかし、週末に1週間分をまとめて購入する文化のあるイギリスでは、店舗によってはネットからの注文と重なり、
ピッキング要員による売り場の混雑で消費者が買い物をしにくい環境になってしまったり、
補充や発注が追いつかなくなりチャンスロスを招く結果となってしまいました。


そこで、ネットスーパー設立当初の店舗対応からネット販売専用物流センター「ダークストア」を新設し、
ネット注文が殺到する店舗のネット販売分をダークストアで対応することになりました。


ダークストアの外観は物流施設ですが、内部は店舗と同様な売り場、商品陳列になっており、
商品ピッキング用に開発された情報システム等は、現状のまま使用できます。
ダークストアを新設する事で、最小限の費用でチャンスロスを回避したのです。

 2.より充実したサービスへ


テスコは配送時間と配送料金の二つのサービスにも目を向けて改良を施しました。


まず、配送時間は従来の9時から23時までの対応から7時から23時までに延長、
配達時間帯を2時間単位から1時間単位で指定することができるようになりました。
さらに、配送トラックにはGPSを設置し、配送時間に遅れると予想される場合はシステムが察知し、
注文者へあらかじめ連絡するサービスも導入するそうです。


そして、配送料金は曜日や時間帯によって1回に付き3ポンド(約520円)から5ポンド(約860円)が発生していましたが、
新たに定額プラン「デリバリーセーバー」が追加導入されました。


デリバリーセーバー
期間 料金 備考
 3ヶ月  27ポンド (約4600円)  火・水・木のみ指定可能
 36ポンド (約6200円)  全日指定可能
 6ヶ月  45ポンド (約7700円)  火・水・木のみ指定可能
 60ポンド (約1万300円)  全日指定可能


注意点として、1日1回のみで1回当たり40ポンド(約6900円)以上買い物をする必要があります。
しかし、最も忙しいクリスマスシーズンには優先的に配送時間の指定が出来たり、
テスコ系列の他のオンラインストアでも特典があるなどのメリットがあります。


顧客視点でサービス面をより細分化しながらも、
条件を付けて無料にするようなサービスではなく確実に収益を確保しています。

 

 3.受け取り方法拡大へ


受け取り方法の改良の中でも2012年から展開された「Click & Collect」は話題を呼びました。
今では当たり前のように感じますが、ネットで注文した商品を店頭で受け取れるサービスです。


テスコでは店舗の駐車場の一部を改良して、ドライブスルー型で受け取れるようにしました。
このサービスを導入するにあたり、最初は店舗の駐車場の片隅で
電源につないだ配送トラックを停め、その隣にテントを設置し、
テントの下に車を停めてドライバーが商品をトランクに積む方法でテストが行われました。
テストを行った結果、非常に好評であったため、店舗の駐車場に本格的な施設を備え、
サービスを提供するようになりました。



(左の画像https://www.tescoplc.com/talkingshop/index.asp?blogid=60[英文]・
右の画像http://www.thetimes.co.uk/tto/business/industries/retailing/article3556102.ece[英文]より)


今年に入り、ロンドン地下鉄の駅駐車場でも受け取ることができるテストが行われています。
この受け取り方法は自宅の最寄り駅に車を停めて、そこからロンドン中心部に電車で通勤する
イギリスの文化にあっており、今後本格的に展開されるように思います。


テスコは改良を加える際に初期投資を押さえてテストを行い、
消費者の反応を確かめたうえで本格的に導入することで、
リスクを抑えた効果的な方法で確実にシェアを築き上げています。


店舗に寄らず通勤の途中で受け取れるサービスは買い物が生活の一部となり、
働く主婦などの利用者が増えるように思います。



最後になりますが、テスコのネットスーパーは運用面とサービス面の
どちらもしっかり改良を続けてきた結果、売上や利益に着実に反映させています。


今後もどう進化していくのか、新たなサービスなど追っていきたいと思います。



2014/06/27 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター