食品破棄対策として生まれた販促

2014年カンヌライオンズのプロモ&アクティベーション部門で受賞した
フランスの大手スーパーマーケットlntermarcheの販促を取り上げたいと思います。



 見た目の悪い野菜や果物だけを取り揃えた売り場

 

lntermarcheは見てくれの悪い野菜や果物だけを大々的に押し出した売り場を展開しました。
その名も、「inglorious fruits and vegetables(不細工な野菜や果物)」売り場。



プライスカードの画像や販促物にも、とびきり見てくれの悪い野菜や果物が描かれ、
キャッチコピーもユニークな表現で綴られています。


ここで、販促として用いられているデザインをいくつか見ていきたいと思います。



上段の左から順に、グロテスクなリンゴ、ばかげたポテト、恐ろしいオレンジ、

下段の左から順に、失敗したレモン、醜いナス、

といった感じで名前が付けられており、それぞれキャッチコピーが記載されています。


 ・『グロテスクなリンゴ』 … 1日1個のグロテスクなリンゴを食べれば医者はいらない。
   1日1個のリンゴを食べれば医者はいらない(英語圏のことわざ)を少し変えたキャッチコピーになっています。
 ・『ばかげたポテト』 … ミス マッシュポテト2014に選ばれました。
 ・『恐ろしいオレンジ』 … おいしいジュースができます。
 ・『失敗したレモン』 … レモンの神です。
 ・『醜いナス』 … もっと醜くなるかもしれないので安くしときます。



フランスでは野菜や果物がビタミンCの一番の摂取源とされており、
上の画像のロゴを使って毎日5種類以上の野菜や果物を取ることが訴求されています。
そのフランスで馴染みある「毎日5種類の野菜と果物を摂ろう」といったスローガンを少し変え、
「毎日5種類の見てくれの悪い野菜と果物を摂ろう」といったデザインなども使われていました。


また、スープやジュースの商品パッケージにも見た目の悪さを表した商品名と画像が描かれています。
こうしたパッケージはある意味消費者の興味を引き、飲んでみようかなと思わせる効果があると共に、
味に自信があるからこそできる販促だと言えます。



フランスでは見た目の悪いもの(規格外のもの)は味や品質が見た目の良いものと同等であっても
それだけで生産者の手を離れることがなかったり、売れ残ってしまい破棄されてしまうのが現状でした。
lntermarcheはこうした食品破棄問題に目を向け、見てくれの悪い野菜や果物を生産者から積極的に買い取り、
最初は地方にある店舗にて3割下げた価格で販売しました。


この実験的な販売が好評であったため、
都市部の店舗では見た目だけでなく中身も大切であることを訴求するユーモア溢れる販促物をたくさん作成し
大々的な売り場を展開、SNSなども活用し、瞬く間にフランス中で話題になりました。


こうした販促を行った結果、2日間で1店舗当たり通常破棄されていた野菜や果物1.2トンを売ることに成功しました。
さらに、来店者数は24%以上も増え、今まで売れ残っていた果物や野菜は品切れが続出するまでになりました。
そして、この内容が各国のメディアやSNSなどで取り上げられることで、
この販促が実施されてから1ヶ月間で1,300万人以上の人達に認知される結果となりました。


(https://www.youtube.com/watch?v=p2nSECWq_PE [YouTube]より、動画の一部を抜粋)



最後になりますが、見た目が悪いだけで買い取りされなかったり、
売れ残ったりして破棄されてしまう野菜や果物。


その問題点や特徴を捉え、消費者が興味を引くようなデザインやキャッチコピーを
駆使した販促とその効果が話題となり、
結果、食品破棄問題の実情や対象になる商品の認知度が確実に高まったと言えます。


現在、似たような販促はフランスにある他の大手スーパーマーケットでも実験的に展開されているそうです。


生産者は今まで買い取ってもらえなかった野菜や果物が廉価でも買い取ってもらえ、
小売店はその分安く販売することで来客数増加やついで買いを促進でき、
消費者は味と質の変わらない野菜や果物を低価格で購入することができます。
生産者側、小売店側、消費者側、全てにメリットのある食品破棄対策として生まれた販売方法。


身近に存在する問題を解決しようとする取り組みが販促やキャンペーンとなり、
結果として認知度アップや来客数アップにつながるのかも知れませんね。



2014/08/27 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター