デジタルサイネージ事情

先月、『デジタルサイネージ市場総調査 2015』が発刊されました。
この調査は、活況を呈しているデジタルサイネージの国内市場について
ハードウェア、ソフトウェア、システム、広告、運営まで網羅的に調査した結果をまとめた内容になっています。


そこで今回はデジタルサイネージの国内市場と
海外のデジタルサイネージを活用した戦略に触れてみたいと思います。



 デジタルサイネージの国内市場

 

■ デジタルサイネージの国内市場

単位:億円
   2007年 ※1  2009年 ※2  2011年 ※3  2012年 ※4  2014年 ※5
システム販売/構築 393.0 442 485 471 544
コンテンツ制作/配信サービス   41.3 67 119 138 190
デジタルサイネージ広告 137.0 152 183 214 320
合計 571.3 661 787 823 1,054


■ デジタルサイネージ広告の国内市場

単位:億円
   2012年 ※4  2014年 ※5
交通広告 107 190
ビルボード(屋外ビジョン)   65 75
インストアメディア他 42 55
合計 214 320


[参考資料] 
※1 … 『デジタルサイネージ市場総調査 2008』まとまる
※2 … 『デジタルサイネージ市場総調査 2011』まとまる (2011/2/8発表 第11012号)
※3 … デジタルサイネージの国内市場を調査 (2012年1月31日 第12009号)
※4 … 『デジタルサイネージ市場総調査 2013』まとまる (2013/5/14発表 第13037号)
※5 … 『デジタルサイネージ市場総調査 2015』まとまる (2015/10/19発表 第15094号)


システムの低価格化により小規模チェーンや個人経営店舗などユーザーの裾野が広がり、
調査資料が公開されてから初めて1,000億円を超える結果となりました。


さらに、デジタルサイネージ広告においては分類別でも調査されており、
中でも交通広告へのデジタルサイネージの導入増加は普段の生活からも実感できるように思います。


交通広告では既存の看板やポスターからデジタルサイネージへの移行が進んでいます。
同一スペースで複数の広告表示が可能となり、都市部や地方都市のターミナル駅を中心に、
積極的に媒体面数を増やしています。
鉄道車両にも広告用モニターの設置が進められ、空港や道路サービス施設(サービスエリア・パーキングエリアなど)、
バス、タクシー車両にもデジタルサイネージの導入が増えており市場の成長が予想されています。


インストアメディア他についても、集客力の活用や購買直前の消費者に対するPR効果が期待され、
スーパーマーケットやブックストアなど大手小売チェーンで展開されています。
店舗以外でも20代前後の若年層に向けて自動車教習所や大学に導入されたり、
自治体施設で窓口業務や市政情報の表示、災害時の情報発信などの広告活用も増えています。


設置コストや運用コストが実用レベルに達してきたことから、導入しやすい環境となり
ここ数年でデジタルサイネージ市場は成長を見せています。
さらに免税制度の改正によるインバウンド需要や2020年の東京オリンピックの開催に向けて
今後より一層の成長が予想されます。


その反面、デジタルサイネージを導入しても目的が不透明であったり、
コンテンツに苦労している、活用できていないといった声も挙げられています。


そこで、デジタルサイネージの先進国であるアメリカの小売店が導きだした戦略に
触れてみたいと思います。


 トリプルプレイ戦略

 

アメリカの大手小売店Walmartは2008年9月、
インストアメディアに注力することを発表しました。


以降、約2年の歳月と1,000万ドルを費やして調査と開発を行い、
店舗に訪れる多くの消費者に最適な場所とタイミング、内容を提供できる方法を検討し、
2010年には全店舗に展開しました。


2,700店舗27,000台以上のIPTV技術を用いたモニターで、
モニタリングおよび購買決定につながるようにコンテンツ配信のコントロールを行いました。
一方的にコンテンツ配信を行うだけでなく、効果測定も行いコンテンツの最適化などにも力を注ぎました。


こうしてデジタルサイネージを以下の3つの役割に分類し、
それぞれを連携させることで、より効果的に購買行動を促進するようなトリプルプレイ戦略を確立しました。



(http://www.digitalsignageconnection.com/customer-facing-technologies-enabling-new-generation-pinpoint-marketing-195[英文]より)


 ウェルカム・スクリーン


 店内に足を踏み入れた際に、最初に目を引くデジタルサイネージです。
 5秒ほどで認識できるような短い内容となっています。


 デパートメント・スクリーン


 商品のカテゴリーごとに設置され、カテゴリーに関連した内容を表示するデジタルサイネージです。
 さまざまな商品を訴求でき、目的の商品以外の購買意欲の喚起を実現しています。


 エンドキャップ・スクリーン


 各商品のすぐ近くに設置される小さなディスプレイです。
 約90秒以上の長いコンテンツが流されています。
 訴求したい商品の特長やセールスポイントを発信し、最後の購入決定を促しています。



最後に、デジタルサイネージの国内市場は2020年には2,717億円、
デジタルサイネージ広告においては1,500億円、
インストアメディア他で550億円と予測されています。


法改正や東京オリンピックに向けたインバウンド対応に加え、
低コスト化によりデジタルサイネージの導入が現実的となり、導入に拍車が掛かります。


デジタルサイネージはあくまでもツールであり、しっかりとした戦略・目的が大切です。
今後どのような戦略を持って各社取り組んでいくのか追っていきたいと思います。



2015/10/29 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター