諸外国の軽減税率と売価表記と販促

昨年末に掲載された「平成28年度税制改正大綱」。
そこには、消費税率10%への引上げを平成29年4月に確実に実施すること。
あわせて軽減税率制度も導入することなどが記載されていました。


消費税率引き上げまで約1年となった今でも、まだまだ不確定な部分が多いのが現状です。


そこで、日本と海外では文化の違いや異なる部分も多くありますが、
少しでも参考になればと諸外国の軽減税率における売価表記と販促をご紹介したいと思います。



 ヨーロッパの軽減税率における売価表記

  

まずは、ヨーロッパ諸国の税率を見てみたいと思います。

(2015年1月現在)
   標準税率   軽減税率 
 ゼロ税率 
軽減税率、ゼロ税率の適用項目
 フランス 20% 10%  旅客輸送、肥料、宿泊施設の利用、外食サービス等
5.5%  書籍、食料品等
2.1%  新聞、雑誌、医薬品等
 ドイツ 19% 7%  食料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、旅客輸送、宿泊施設の利用等  
 イギリス 20% 5%  家庭用燃料及び電力等
0%  食料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、国内旅客輸送、医薬品、
 居住用建物の建築、障害者用機器等
 スウェーデン 25% 12%  食料品、宿泊施設の利用、外食サービス等
6%  新聞、書籍、雑誌、スポーツ観戦、映画、旅客輸送等
0%  医薬品(医療機関による処方)等

【参照先】https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm[財務省ホームページ]より


ヨーロッパでは基本的に軽減税率が導入されています。
標準税率が高めである一方、食料品や生活に必要な費用は軽減税率またはゼロ税率が適用されています。


また、各国で課税対象の細々した違いがあります。
下の表はフランスの品目別税率の一部になります。


品目 標準税率 (20%) 軽減税率 (5.5%) 補足
キャビア フォアグラ ・ トリュフ  … ※1
マーガリン バター  … ※2
チョコレート  板チョコ(カカオ含有量 50%未満)   … ※3

<補足>
※1 キャビアは輸入でフォアグラ・トリュフは国産であり、国内産業を保護するために軽減税率が適用されています。
※2 マーガリンは工場(企業)生産でバターは酪農家の生産であり、国内畜産業を保護するために軽減税率が適用されています。
※3 チョコレートは贅沢品でカカオ含有量50%未満のチョコレートは生活必需品と定められたため軽減税率が適用されています。


イギリスでは注文に応じて温めた商品や保温機等で温められている商品は標準税率が適用されます。
以下はイギリスとドイツの店内での食事と持ち帰りでの価格表示の画像になります。


 ● イギリスの事例 1


 上の画像はEat in (店内で食事/標準税率)とTake away(持ち帰り/ゼロ税率)の
 それぞれの税込価格が記載されています。


 下の画像もEat in (店内で食事/標準税率)とTake away(持ち帰り/標準税率)の
 それぞれの税込価格が記載されています。
 注文に応じて温めた商品や保温機等で温められた商品は標準税率が
 適用されるため、Eat inとTake awayの税込価格が同じになっています。
 画像の場合、「ENJOY HOT(温める商品)」がポイントです。

 ● イギリスの事例 2


 常に温められている商品は標準税率の税込価格が表示されています。
 左の画像のプライスカードには「Eat in」の表記のみ記載されています。

 ● イギリスの事例 3


 英国人はお昼にバナナを食べる習慣があり、
 ファーストフード店で販売しているバナナはTake awayとEat inの
 ふたつの税込価格が記載されています。 

 ● ドイツの事例


  to go(持ち帰り/ゼロ税率)とCafe(店内で食事/標準税率)の
 それぞれの税込価格が記載されています。

http://diamond.jp/articles/-/52918 [DIAMOND online]より


そして、ヨーロッパの小売店での売価表記の傾向についてです。
結論から言うと、上の画像にもあるように基本的に「税込価格」で表示されます。
店内での食事と持ち帰りでの税率が異なることから、それぞれの税込価格が表示されます。
税込価格で表示されているため、品目によって適用される税率が細かく異なっていても、
消費者が買い物をする際に税率を意識することは少ないと言えます。


 マレーシアの売価表記と販促事例

  

マレーシアでは従来適用されていた売上税とサービス税制度を廃止し、
2015年4月1日に新たに物品・サービス税(GST/Good & Service Tax)が導入されました。
GSTの詳細は以下のようになります。


   標準税率   軽減税率 
 ゼロ税率 
軽減税率、ゼロ税率の適用項目
マレーシア 6% 0%  米、食塩などの食料品、一定の電気・水道料金などの生活必需品 


GSTは非課税の対象が細々していたり、お店の規模によっては課税されなかったりと非常に複雑で、
自国の人たちでさえも把握できていない状態で導入されたそうです。


そうしたマレーシアにある小売店の売価表記や販促をご紹介したいと思います。


 Giant (スーパーマーケット) の事例

  

マレーシアにあるスーパーマーケットGiantではプライスカードやレシートの見方などを表した
パネルを店内に設置したり、チラシを配ったり、ホームページで掲載しています。



左の画像:http://www.themalaymailonline.com/malaysia/article/minister-39-companies-vow-to-maintain-price-of-goods-by-absorbing-gst より
中央の画像
:http://www.todayonline.com/world/asia/after-confusion-chinese-traders-offer-putrajaya-help-iron-out-gst-kinks より
右の画像:
http://www.giant.com.my/news/details.aspx?ID=102 より

 


ホームページに掲載されているプライスカードの記載の部分を拡大した画像です。
店内のプライスカードは上の画像のようにGSTが課税されない商品には「0% GST」と記載され、
GSTが課税される商品には6%のGSTが含まれた税込価格で表示されています。
これはPOPでも同じ表記になっています。


 TESCO (スーパーマーケット) の事例

 

TESCOでもGiantと同じように、プライスカードやレシートの見方などを表した
パネルを店内に設置したり、ホームページで掲載しています。



左の画像:http://www.themalaymailonline.com/malaysia/article/gst-shirkers-should-make-their-home-on-the-moon-says-mp より
右の画像:
http://www.tesco.com.my/compliance/default.aspx?ID=89&PID=2933 より

 

パネルにはGiant同様、下の画像のようにGSTが課税されない商品のプライスカードの右下に
「0% GST」という表記をしていることも記載しています。



TESCOの場合、0%と6%のそれぞれに該当する商品例や
オンラインショップの非課税商品に対するロゴについてなども記載しています。


 オンラインショップでは、GSTが課税されない商品に左の画像のようなロゴが表示されます。


http://eshop.tesco.com.my/en-GB/Search/List?searchQuery=organic&Search=Search より

 

 KK Super Mart (ミニマーケット) の事例

 

店舗面積は小さいながらも生鮮食品や雑貨などスーパーマーケット並みの品揃えと
安価な価格設定のミニマーケットと呼ばれる業態のKK Super Martでは、
課税対象商品と非課税対象商品のプライスカードの色を分けて対応しています。



http://berita.mediacorp.sg/mobilem/world/malaysia-mula-laksanakan/1761098.html より


掲示物にはGSTのかからない商品は黄色のプライスカードで、
GSTのかかる商品はオレンジ色のプライスカードであることが記載されています。
オレンジ色のプライスカードは「(GST)」の文字が記載された、税込価格表示になっています。


 Guardian (ドラッグストア) の事例


マレーシアにあるドラッグストアGuardianでは、GST導入後の買い控え対策として
GSTの税率と同じ6%の割引販促をGSTの導入月(2015年4月)に実施しました。


 
左の画像:https://www.facebook.com/GuardianMalaysia/photos/a.263090733701079.77425.161317810545039/984856481524497/?type=3&theater より
右の画像:
https://www.facebook.com/GuardianMalaysia/photos/pb.161317810545039.-2207520000.1455004819./988436494499829/?type=3&theater より


左側の画像は、4月16日~19日の4日間は割引だけでなく、
特別奉仕価格での提供も同時に行うことをfacebookで訴求しています。



最後になりますが、軽減税率を導入している国の多くの小売店で
プライスカードは「税込価格」のみの表示をしている傾向があると言えます。
そして、店内での食事と持ち帰りで支払い金額が異なる場合は、それぞれの「税込価格」を記載していました。
税込価格のみの価格にすることで、細かい税率の違いを消費者は意識せずに購入していると言えます。


日本でも、2017年4月の消費税率10%への増税時に軽減税率が導入されます。
現状では、飲食料品(酒税法に規定する酒類と外食サービスを除く、食品表示法に規定する食品)と
定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞が軽減税率の対象品目となっています。
(平成28年度税制改正の大綱より)


飲食料品を取り扱っていない小売店は少なく、多くの小売店で軽減税率の対応が必要になってきます。
こうした現状を受け止め、少しでも参考になる情報をこれからも配信していきたいと思います。



2016/02/24 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター