認知度が低い地域への進出事例

ドイツのディスカウントストアALDIはアメリカ カリフォルニア州に3月24日、8店舗を同時にオープンしました。
アメリカには元々約1500店舗を展開していますが全て東海岸と中西部のため、
西海岸(カリフォルニア州)への出店は今回が初めての試みとなります。


 
https://www.aldi.us/en/new-to-aldi/grand-openings/grand-openings/[英文]より


今回はこのALDIのビジネスモデルと知名度の低い地域への進出でALDIが展開した販促に触れたいと思います。



まずはALDIのビジネスモデルでもある、低価格販売を実現するための取り組みについてです。


 ボックス・ストア (納品時の段ボール箱のまま陳列する小売店)

 

 
左の画像・中央の画像:https://www.facebook.com/ALDI.USA/photos/a.325286184228411.73953.218299471593750/892297857527238/?type=3&theater
右の画像:https://www.facebook.com/ALDI.USA/photos/a.325286184228411.73953.218299471593750/804784769611881/?type=3&theater


納品時の段ボール箱のまま陳列を行っています。
商品を箱から取り出してひとつひとつ棚に並べる必要がないためオペレーションコストが抑えられます。


納品後すぐに陳列できるよう、カッターやはさみがなくても段ボールが切り取れる仕様になっています。
段ボール箱の上に段ボール箱が置けるような形状や切れ目に丸みが施されているものもあり、
段ボール箱のままであっても安定しており崩れる心配がなく、安全性やデザイン性も兼ね揃えていると言えます。

 

 リミテッド・アソートメント・ストア (商品アイテムを限定している小売店)


通常のスーパーマーケットでは20,000~50,000アイテムの商品を取り扱っていますが、
ALDIでは1,500アイテム程度に絞り込んでいます。
アイテムの多くはPB商品で、取り扱い商品の90%以上を占めています。
ALDIの取り扱うPB商品は出店国のライフスタイルにあわせており、
アメリカの店舗ではアメリカのライフスタイルにあわせた以下のカテゴリに分類されるPB商品を取り扱っています。


PBロゴ PB名称・内容
<Specially Selected>
 高級志向・高付加価値のPB商品
<liveGfree>
 グルテンを使用していないPB商品
<SimplyNature>
 125種類の人工添加物を使用していないPB商品
<Never Any!>
 抗生物質や成長ホルモンなど添加物を使用していない精肉や
 原料に動物由来成分を一切含まない加工肉を使用したPB商品 
<Fit & Active>
 健康志向のPB商品
<Pueblo Lindo>
 中南米産のPB商品
<Double Guarantee>
 購入した商品に満足できない場合は、
 商品を交換し返金する二重保証サービス 

https://www.aldi.us/en/grocery-home/aldi-brands/[英文]より


またNB商品は売れ筋商品のみを取り扱い、メーカーや商品を絞り競争を少なくするかわりに
安価な仕入れを実現し、低価格での販売を実現しているそうです。

 

 ローコスト・オペレーション


ALDIは売り場面積300~500坪程度の小型店で、レジ台数は5台程度。
営業時間は12時間程度と比較的短く、1店舗の従業員数も最小限に抑えるなど人件費の削減をしています。
買い物カートは返却するとお金が戻ってくる仕組みで、買い物カートが駐車場などで放置されるのを防ぎ、
店員のカート回収作業の削減も行っています。
買い物袋は有料で、対面販売・店内加工はありません。
また、店舗装飾は控えめですが広告宣伝は効率的に実施し、費用を抑えています。


こうしてALDIは、同じ低価格路線のウォルマートよりも安価な価格で商品を販売することを実現しました。
ALDIは品揃えが少ないため必要なものをすべて揃えることは難しく、他の小売店の近くに出店することで、
最初にALDIで買い物をして足りない分を他の小売店で補うといった買い物スタイルの動線を作り上げ
品揃えが少ないデメリットをカバーしています。


こうした特徴のあるALDIが昨年、2016年にカリフォルニア州で45店舗の新店をオープンすることを発表し、
下の地図のように先月8店舗、今月10店舗を同日オープンしました。



赤は3月24日オープン・青は4月21日オープン
http://www.sekaichizu.jp/atlas/north_america/states/america/california.html[世界地図:カリフォルニア州の白地図]より、一部に加筆


この地域は広大な砂漠のため住宅が安価であり移転してくる家族が増え、急速に人口が増えています。
あわせて続々と大手小売店なども進出し、スーパーマーケットの激戦区にもなっています。
こうした競合が多く、またALDIにとって知名度の低い地域へは以下のような販促を展開して進出しました。

 

 カリフォルニア州向けWebページとライフスタイルにあわせた品揃え・販促

 


https://www.aldi.us/en/new-to-aldi/california-grand-opening/[英文]より


カリフォルニア州への出店にあわせた専用のWebページがあります。
ALDIの店舗情報・PB商品についてや取り組み、アメリカで有名なコメディアン ベン・ベイリー氏を使ったALDIの紹介、
「Double Guarantee(交換・返金の二重保証)」などまず興味を持ってもらえるような内容になっています。


またカリフォルニア州はワインの産地でもあり消費量が多く、ALDIでもワインの品揃えには力を入れています。
店内の販促物はコスト増につながるため極力導入していなかったALDIですが、
おすすめのワインにはPOPを使って訴求するなどワインの販促にも力を入れています。

 

 「安い」を植え付けるイメージ戦略


認知度の低い地域への進出は、最初の印象が大切になります。
最初の印象でどんな小売店なのか、今後利用するかどうかが決まります。


そこで、目玉商品の価格は競合よりも大きく下回る価格で設定し、
他の商品においても競合より安価な価格で設定しています。
こうすることで「ALDIは安い」というイメージを植え付けることができ、
リピーター顧客の確保や口コミによる新規顧客も取り込むことにつながります。


どこよりも安価な価格設定が実現できるのも、
ローコストオペレーションを徹底しているからこそと言えます。

 

 近隣へのDM配布で知名度アップ


初回にオープンした8店舗はカリフォルニア州の南側に固まっており、
30ドル以上購入すると5ドル引きになるクーポン付のDMを近隣地域に配布しました。
DMには先着100名に最大100ドルのギフトカードと交換できるチケットを配布することや
青果が1年間無料になる懸賞などについても紹介し、来店を促す内容になっています。
こうしたお得な販促の展開とDMによる告知で集客力の増加、認知度アップにつながりました。


こうした3月の初回オープンに続き、4月も同様な販促と告知を行いながら着実に店舗数を増やしています。



最後になりますが、ALDIの新しい地域への進出は始まったばかりです。
激戦区で今後どういった戦略を繰り広げていくのか。


今後もその戦略を追っていくとともに、少しでも販促などの参考になればと思います。



2016/04/27 作成

システム開発・アウトソーシングの高崎共同計算センター