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海外の販促事例や聞きかじりの話題、社内アンケートの実施結果など、ちまたに溢れるニュースをご紹介しています。

食品ロスを減らす陳列・保存方法

2023
12/20
海外の販促事例

今回は、THE ONE SHOW、カンヌライオンズと並び
世界三大広告賞のひとつと言われているクリオ賞の金賞を受賞した、
コロンビアのスーパーマーケットCarullaが考案した
「The Fresh System」についてご紹介します。

 食品ロスを減らす陳列・保存方法(The Fresh System)

国連環境計画(UNEP)が発表した「食品廃棄指標報告2021(Food Waste Index Report 2021)」によると
世界の食品ロスは毎年推定9億3,100万トンにも及んでいます。
そのうち61%(5億6,900万トン)が家庭から排出され、
外食産業が26%(2億4,400万トン)、小売業が13%(1億1,800万トン)と続いており、
家庭から発生する食品ロスが非常に多いことが分かります。

こうした現状を解決する為に、Carullaは調査を重ね、
その結果、主な原因はエチレンであることを突き止めました。

エチレンとは常温ではエチレンガスと呼ばる気体状を保ち、
無色でかすかに甘い香りがする物質です。
エチレンガスは工業的に生成されるだけでなく、野菜や果物等の青果からも生成されます。

野菜・果物由来のエチレンガスは、熟成を促す役割を持っています。
収穫後もエチレンガスの生成は続き、保管・運搬中においても熟成が促されます。
熟成し過ぎると食べごろを通り越して腐敗し、破棄へとつながり、これが食品ロスの原因となります。

エチレンガスの生成される量は青果の種類によって異なります。
生成量が多い青果と少ない青果を一緒に陳列した場合、
生成量が少ない青果の劣化が早まると言われています。

そこで、Carullaはエチレンガスの生成量によって青果を区別し、
生成量が多い青果と少ない青果の距離を空けて陳列しました。

また、陳列方法を工夫するだけでなく、エチレンガスの生成量をPOPによってひと目で分かるように表示。
さまざまなチャネルを使い、エチレンガスに関する情報や
青果を長持ちさせる為の組み合わせについて等の情報を消費者へ提供し、
消費者に対して食品ロス問題に関する啓蒙活動にも取り組みました。

Carullaはオンラインショップでも青果のエチレンガス生成量が分かるように表示し、
配送時の梱包においても生成量によって分ける等の工夫をしています。

Carullaはこうした取り組みを実施することで、
4か月で食品ロスを8,000個削減することが出来ました。

(画像はhttps://clios.com/awards/winner/creative-commerce/carulla/the-fresh-system-130353[英文]より、動画の一部を抜粋・加筆)

最後になりますが、Carullaはエチレンガス生成量を意識して青果の陳列を工夫することで、
比較的少ない労力と費用で店舗の食品ロス削減に成功しました。
また、こうした情報を消費者へ提供することで消費者への意識改革を行い、
家庭からの食品ロス削減にも貢献していると言えます。

この機会に野菜・果物の商品陳列の見直しや
保存方法等の役立つ情報を消費者へ提供をしてみてはいかがでしょうか。

2023/12/20 作成