Lucky Yatra ~ 幸運をもたらす旅 ~
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毎年6月に開催されている三大広告賞のひとつカンヌライオンズ。
どんな作品が受賞されたのか、毎年楽しみにしています。
そこで今回は、今年カンヌライオンズのPR部門にてグランプリを受賞した、
購買意欲を高める施策を実施し、行動変容を促した海外の販促事例をご紹介します。
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Lucky Yatra ~幸運をもたらす旅~
世界で最も混雑する公共交通機関と言われているインド鉄道。
毎日2,400万人もの人々が利用しています。
非常に乗客が多い為、改札はなく乗車券の確認ができていない状況です。
その為、乗客の41%は乗車券を購入せずに鉄道を利用しており、
年間1,000億円以上の損失となっています。

こうした状況は長年の課題となっており、
乗車券を購入してもらう為の動機付け不足やモラルの低下によりさらに悪化しています。
この課題を解決する為に、インド鉄道は「Lucky Yatra」キャンペーンを展開しました。
このキャンペーンは乗車券を宝くじにすること。
インド鉄道の乗車券には固有の販売番号が記載されており、
この販売番号を利用し、抽選を行うキャンペーンを展開しました。

抽選は毎日、また毎週行われ、伝言掲示板にて発表。
また乗車券に印字されているQRコードより当選番号を確認することも出来ます。
このキャンペーンはインド国内の24駅にて、
印刷物やデジタル媒体、駅構内メディアを通して発信されました。

このキャンペーンは賞品に約2億円が使用されましたが、
約980億円の収益を上げ、投資収益率(ROI)は49,000%と計り知れない影響を与えました。
さらに売上は34%増加し、1年間で416人が当選、インプレッション数は5億6,000万回以上、
センチメント分析では95%が前向きな感情を抱いており、多くの人々の心に響く結果となりました。
*インプレッション数とは、WEBサイトやSNS等で広告やコンテンツが表示された回数のことです。
*センチメント分析とは、テキストデータや音声データ等を元に人間の感情を分析する手法です。
インドの人々は世界的にも宝くじを好む文化がある国と言われており、
乗車券を宝くじにする施策はインドの人々にマッチし、
乗車券を購入させるという動機付けに成功しました。
(画像はhttps://www.adsoftheworld.com/campaigns/lucky-yatra-case-study[英文]より、動画の一部を抜粋)
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最後になりますが、無賃乗車に対する罰則という方法ではなく、
乗車券に付加価値を付けることで乗客に乗車券を購入する動機付けを行い、
行動に誘導した素晴らしいキャンペーン施策と言えます。
過去に台湾の宝くじ付きレシートをご紹介したことがありますが、
こちらも宝くじを好む台湾の人々に脱税防止を目的として
政府が中心となって展開している施策です。
こうした海外の販促事例を参考に、
日本の文化にあったキャンペーンや販促を意識していきたいですね。
2025/11/05 作成


