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海外の販促事例や聞きかじりの話題、社内アンケートの実施結果など、ちまたに溢れるニュースをご紹介しています。

新型コロナウイルスに対するアメリカ小売企業の対応・対策

2020
4/27
海外の販促事例

今年に入ったばかりの頃は、時折話題に上っていた新型コロナウイルスに関するニュースが、
1月中旬頃からは聞かない日はないというほど連日報道されるようになりました。
そして今では私たちの身近に迫り、感染・命の危険を脅かしています。

始まりは2019年12月に中国湖北省武漢市内で原因不明の肺炎が広がったことからと言われています。
原因不明の肺炎は2020年1月に新型コロナウイルスであることが確認され、
1月中旬には中国以外の国でも感染し、日本での感染も報告されました。
今回の新型コロナウイルスも飛沫感染・接触感染でヒトからヒトへと感染することが判明しました。

現地時間2月11日にWHO(世界保健機関)は新型コロナウイルスによる肺炎等の疾患について、
「COVID-19(コービッド・ナインティーン)」と名付けました。

日本国内では2月1日より検査・入院に強制力を持たせる「指定感染症」に定められ、
国を挙げて感染拡大を防ぐ体制づくりが進められました。
2月21日には東京都が大規模屋内イベントの中止・延期を決め、
2月27日には3月2日から春休みまでの期間は全国一斉の臨時休校を要請する等、
国内でも様々な対応・対策が取られてきました。

しかし、国内での感染は収束するどころか増え続け、
東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県に対して
4月7日に政府は緊急事態宣言を発令しました。
その後、上記以外の地域でも都道府県として緊急事態宣言を発令する地域があり、
4月16日には政府が緊急事態宣言を全国に拡大しました。
そして、これまでの宣言対象の7都府県に加え、
北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の6道府県をあわせた13都道府県については、
特に重点的に感染拡大の取り組みを進めていく必要があるとして、特定警戒都道府県と位置づけました。

海外に目を向けると2月・3月で感染が爆発し、
アメリカやイギリス、イタリア、スペイン、中国等でロックダウンが実施されました。
政府だけでなく小売企業でも感染防止に向け、様々な対応・対策が行われています。
今回はアメリカの小売企業で実施されている新型コロナウイルスの対応・対策についてご紹介します。

 シニア層専用の営業時間

アメリカのディスカウントストアDollar Generalは3月17日から毎日開店前の1時間(午前8時から午前9時)を
感染すると重症化する可能性が高いシニア層専用の営業時間に設定しました。
混雑した時間での買い物を回避できるような対応をいち早く導入しました。

こうした新型コロナウイルスに感染しやすい方、感染すると危険性が高い方専用の営業時間は、
以下の様に対象者や時間帯等を変えてアメリカの多くの小売店で導入されています。

小売企業名 曜日 時間 対象者
 Albertsons  毎週 火・木  7時 ~ 9時  高齢者・感染しやすい方
 Aldi  毎週 火・木  8時30分 ~ 9時30分  高齢者・妊婦・感染しやすい方
 Big Lots  毎日  開店前の1時間  高齢者・感染しやすい方
 Big Y  毎日  7時 ~ 8時  60歳以上・感染しやすい方
 BI-LO  毎週 月・火・水・木・金  8時 ~ 9時  高齢者・感染しやすい方
 BJ’s  毎日  8時 ~ 9時  60歳以上
 Costco  毎週 火・水・木  8時 ~ 9時  60歳以上・障がい者
 Dollar General  毎日  開店前の1時間  高齢者・感染しやすい方
 Giant Food  毎日  6時 ~ 7時  高齢者・感染しやすい方
 Hy-Vee  毎日  7時 ~ 8時  60歳以上・妊婦・感染しやすい方
 Kroger  毎週 月・火・水・木  7時 ~ 8時  60歳以上
*店舗によって異なる場合があります。
 Market Basket  毎日  6時 ~ 7時  60歳以上
 Price Chopper  毎日  6時 ~ 7時  高齢者・感染しやすい方
 Publix  毎週 火・水  7時 ~ 8時  65歳以上
 Sam’s Club  毎週 火・木  7時 ~ 9時  高齢者・障がい者・感染しやすい方
 Stop & Shop  毎日  6時 ~ 7時30分  高齢者・感染しやすい方
 Target  毎週 火・水  開店前の1時間  高齢者・感染しやすい方
 Trader Joe’s  毎日  開店前の1時間  60歳以上・障がい者
 Walgreens  毎週 火  8時 ~ 9時  高齢者
 Walmart  毎週 火  開店前の1時間  60歳以上
 Whole Foods Market  毎日  開店前の1時間  60歳以上

シニア層向けということで朝早い時間の設定が多いです。
専用営業時間の導入以外にも、シニア層専用レジを導入している小売店もありました。

 医療従事者や救助隊、州兵等へのおもてなし・サービス

Dollar Generalは医療従事者や救助隊・救急隊・消防隊・警察、
緊急事態の対応にあたっている州兵等に感謝の気持ちを込めて
一部商品を除く全品10%割引で提供するサービスを実施しました。

割引を受けるためには、会計時に社員証や証明する為のバッジ等を提示する必要があり、
このサービスは4月30日まで毎日実施されています。


(画像はhttps://twitter.com/DollarGeneral/status/1244621293221228545[英文]より)

他にも、 会員制倉庫店BJ’sでも医療関係者や救助隊等の方々へ、感謝の気持ちを込めてサービスを提供しています。
その内容はBJ’sで買い物をする為には年会費を支払い会員になる必要がありますが、
毎週日曜日午前8時からの1時間は会員ではない対象者も買い物をすることができるサービスです。

新型コロナウイルスと最前線で闘っている方々への感謝の気持ちは大切だと思います。
こういった取り組みは社会貢献にもつながるのではないでしょうか。

 お客様と従業員を守るための取り組み

現在では日本でも多くの小売店で導入されている一定の間隔を空けてのレジ待ちや
レジでの飛沫防止用の透明の仕切りシート等も、アメリカでは半月前(3月中旬頃)には導入されていました。


(左の画像はhttps://www.facebook.com/acmemarkets/photos/a.10150097024008145/10157875337288145/?type=3&theater[Facebook]より
右の画像はhttps://www.facebook.com/acmemarkets/photos/a.10150097024008145/10157876840963145/?type=3&theater[Facebook]より)

ACMEMarketsは店内の床に矢印を付け一方通行にしたり、お会計の順番待ちの場所に印をつけたりし、
店内やレジ待ちで他のお客様と6フィート(1.8メートル)の距離が保てるように工夫しています。
レジでは飛沫防止対策として透明のアクリル板のような仕切板が導入されています。


(画像はhttps://corporate.walmart.com/newsroom/2020/04/03/changes-to-our-shopping-process-to-encourage-social-distancing[英文]より)

Walmartでは店舗面積1,000平方フィート(約93平方メートル・約28坪)あたりに
お客様が5人以下になるように入場制限をしています。
店内でもお客様同士が距離を空けるように注意書きを掲示し、
さらにお買い物を済ませたお客様は入口とは異なる出口から出ていくように運用され、
すれ違いによる密接を避け、少しでも距離を取れるような工夫がされています。

店内は常に5人以下になるようにお客様1人が店内から出ると、
お客様1人を従業員が店内に入れる「1-out-1-in」方式を導入しています。
店外に並ぶ際も1.8メートルの間隔を空けて並ぶように対応しています。

こうした対応以外にも、アメリカの多くの小売店で従業員が店舗の清掃や商品補充作業が出来るように、
また従業員自身の健康や生活の為に、通常の営業時間よりも早く閉店しています。
その他にも、消費者が持参したエコバッグからの感染を懸念し、
エコバッグの持参を禁止してレジ袋や紙袋へ切り替えた小売店もあります。

アメリカでは多くの小売店において、お客様に対しては快適に安心して買い物ができる環境づくりを、
従業員に対しては安心して働ける環境づくりを目指し、様々な対応・対策が実施されています。

こうした海外の取り組みは、日本でも文化に合った方法に形を変えて導入されつつあり、
日本小売店の対応・対策のスピード感を目の当たりにしています。

終息が見えない新型コロナウイルスですが、一刻も早く以前の生活を取り戻せるように
みんなで一丸となって闘い、苦難を乗り越えていきたいですね。

2020/04/27 作成